労働者の市場価値を考えるとき、そのスキルの希少性が問われます。昨今のIT市場ではAIやビッグデータ関連のスキルに高い値段がつきますね。
さてこの希少性についてですが、本当のところどうなんでしょうか。話はサッカーの移籍市場に移ります。
欧州リーグではビッグクラブが高額な移籍金を支払い選手を買っています。ネイマールの300億円には文字通りたまげましたね。
なぜ300億円も支払われるかといえばそこに希少性があるからなんですね。ネイマール選手は1人しかいないということももちろんそうなのですが、属性を噛み砕くと、イケメンのドリブラーで、点が取れて、前線でタメも作れて、母国のヒーローという属性があります。ネイマールを買い取ったパリ・サンジェルマンはネイマールの実力だけでなく、顔や若さや人気も加味しているわけです。新興国ブラジルへの広告料と思うと安いという見方もできるわけです。
話が長くなりました。
ネイマールの希少性は認められるところですが、その希少性がフィットするのか、それが問題だと思っています。
彼の場合移籍後即通用しましたが、過去の例だとカカやセスク・ファブレガス、ベイルあたりは高い買い物だったと言われています。日本人だとマンチェスターユナイテッド移籍後の香川やミラン本田なんかが新しいですね。希少性や実力があっても、それはそのチームのその戦術でしか役に立たないものだった、リーグが変わったらダメでした、そんなことが多々あるわけです。
サラリーマンではどうでしょうか。サッカー選手のような高度プロフェッショナルと同じように扱うのは間違っているかもしれませんが、サラリーマンで希少性が認められる人材というのは、8割方その希少性が所属する会社でのみ認められているタイプです。人的資本は社内にしかありません。転職市場でもうまく宣伝すればいくらでも誘いの手はあるでしょうが、移籍後活躍するというのは簡単な話ではありません。
長くなりましたが考えて欲しいのは一つです。よくある転職煽りを間に受けるのもいいですが、己のスキルが本当に自社以外でも通用するのか、社会全体でみて希少性があるのかを一考してみてください。5000万人いる日本人労働者の中での価値を考えるのです。